【蕪村菴俳諧帖46】端午の節供
◆江戸時代の公式祝日
端午(たんご)の節供(せっく=節句)は中国が起源。
朝鮮半島では四大名節の一つだそうですが、
日本では五節供の三番目になっています。
・1月7日 人日(じんじつ) →七草の節供
・3月3日 上巳(じょうし) →桃の節供
・5月5日 端午(たんご) →菖蒲の節供
・7月7日 七夕(たなばた) →星の節供
・9月9日 重陽(ちょうよう)→菊の節供
五節供が定められたのは意外に新しく、江戸時代のこと。
これらに年始(1月1日)と八朔(8月1日)を加えた7日が
公的な祝日(休日)に制定されていました。
○菖かけて 見ばや五月の風の色 洒堂
家の軒に菖(しょうぶ=菖蒲)の葉を葺(ふ)いて
五月(さつき)の風を楽しもうというのです。
菖蒲はその強い香りと剣のような葉の形から邪気を払うと考えられ、
家の中や軒先に吊したり、屋根を葺いたりしていました。
○いま葺きしあやめに くもの工哉 白雄
5月4日の夜に葺くのがならわしだったそうですが、
葺いたばかりの菖蒲に蜘蛛の工(たくみ=大工)が
早くも巣を架けてしまったようです。
菖蒲は虫よけにも効くはずなのですが…。
○菖かけて 見ばや五月の風の色 洒堂
家の軒に菖(しょうぶ=菖蒲)の葉を葺(ふ)いて
五月(さつき)の風を楽しもうというのです。
菖蒲はその強い香りと剣のような葉の形から邪気を払うと考えられ、
家の中や軒先に吊したり、屋根を葺いたりしていました。
◆端午の定番はちまき
端午の節供の代表的な食べ物は粽(ちまき)でした。
粽にくらべ柏餅を詠んだ句が少ないのは、
柏餅が端午の節供餅になったのが江戸中期以降だからでしょう。
ことに京阪では長らく粽が主役でした。
文もなく口上もなし 粽五把 嵐雪
粽はたくさん作って親戚や友人に配るものでした。
手紙もつけず、伝言もなく、
さりげなく粽を五把(ごわ)置いていったというところに
つき合いの親しさを感じることができます。
葉隠れの五日の月や 柏餅 存義
めずらしい柏餅の句。
月が木の葉に隠れているのは、盛夏が近く枝葉が茂っているため。
季節感のよくあらわれた一句です。